第163回芥川賞受賞作品『破局』が話題です。
平成生まれ初の芥川賞受賞作家となった作者の遠野遥さんにも注目が集まっています。
今回は、芥川賞作者の遠野遥さんの経歴と、受賞作の『破局』のあらすじとをまとめました。
遠野遥の経歴
2019年に文藝賞を受賞しデビューされた遠野遥さん第二作「破局」(文藝2020夏季号掲載)が第163回芥川賞を受賞されました! 同時受賞は「首里の馬」高山羽根子さんです。遠野さん、高山さん、おめでとうございます! pic.twitter.com/UN3AKi0TWf
— 河出書房新社 文藝🍧シスターフッドとコロナ禍日記な秋季号7/7発売 (@Kawade_bungei) July 15, 2020
名前:遠野遥
読み方:とおの・はるか
本名:非公開
生年月日:1991年8月22日
年齢:28歳(2020年7月現在・芥川賞受賞時)
出身地:神奈川県藤沢市
居住地:東京都
遠野遥さんの生まれ年は平成3年で、芥川賞受賞者では初の平成生まれです。
受賞した『破局』は2作目ということで、作家としてかなりの才能の持ち主ですよね。
以前のインタビューやエッセイなどをみると、小学校の頃サッカーチームに入っていたことや、スイミングスクールに通っていたことがあるといっていました。
焼き鳥のメニューではつくねとねぎまが好きだそうです。
前作『改良』では、主人公がスイミングスクールに通っていたり、「つくね」という登場人物が出てきたりと、じしんの体験を作品に反映する部分があるようですね。
圧倒的な天才というイメージがありましたが、一般的に子供が興味を持つ習い事をやっていたり、焼き鳥が好きだったりと、少し親近感がわいてきます。
現代美術鑑賞が好き、でもホラーゲームも大好きという、いろんな一面をもっています。
ご家族や親族などにも作家がいるか調べてみましたが、情報がありませんでした。
学歴や出身大学
遠野遥さんは慶應義塾大学法学部を卒業されています。
慶應法学部といえば偏差値は70で、言わずと知れた名門です。
慶應出身の作家は、遠藤周作、水野敬也、竹田恒泰、内田春菊、檀ふみ、阿川佐和子など。
どなたも大成していて、長い間活躍されている一流作家ばかりですね。
経歴
遠野さんが小説を書き始めたのは2012年から13年ごろ。
大学生活も終わりに近づき、卒業後の生き方もめどがついてきたころだったそう。
始めたきっかけはよく覚えていないそうですが、小説を書きだす少し前に夏目漱石の作品を何度も読んでいたということです。
初期の頃は漱石の書き方を参照していたそうで、直接の理由ではないものの、漱石になにかしらの刺激を受けたのは確かなようですね。
2018年の文藝賞にはホラーゲームを題材にした小説を応募しますが、残念ながら最終選考の手前で落選。
しかし、翌年の2019年8月に『改良』が第56回文藝賞を受賞します。
一年でリベンジできたというのがすごいですね。
『改良』は女装して美しくなりたいと努力する、大学生の主人公「私」の物語。
120ページという短い小説ですが「美しさ」というテーマを通して、男性、女性としての在り方や、社会の中にある偏見などを映し出すような深い作品です。
2020年文藝夏号に掲載された『破局』が、第163回芥川賞を受賞しました。
小説の他にもエッセイなどを執筆することもあります。
新進気鋭の作家や写真家、芸術家などが集まる「アパートメント」というサイトでは、遠野さんが執筆した記事を読むことができます。
イケメンと話題に
芥川賞を受賞した遠野遥さん(28)イケメンさんだぁ🥺小説読みますね。 pic.twitter.com/MhM83vCkJe
— ゆ (@yurari_rari_) July 15, 2020
受賞が決まったとたんイケメンだとSNSで話題になっている遠野さん。
米津玄師に似ているという声もありますが、じつは遠野さんは米津玄師がブレイクするずっと以前から曲を聴いていたそうです。
ギターでコピーするほど好きだったようで、「Lemon」が大ヒットしたときは、仲のいい友達が結婚したときくらいうれしかったそう。
雰囲気が似ているのもわかる気がしますね。
遠野遥『破局』のあらすじ
物語は、主人公・陽介を語りべのようにして進んでいきます。
大学4年生の陽介は、卒業を控えて公務員になるべく勉強をこなし、一方では彼女の麻衣子と大学生らしく恋愛もしているという充実した日々を過ごしています。
高校時代にはラグビー部に入っていて、引退後もコーチとして部員の指導に当たります。
優しくて正義感のある陽介は、周りからもよく相談を持ち掛けられるような信頼おかれる存在。
一見完璧なキャンパスライフにみえますが、麻衣子とぎくしゃくし始めることで、物語の本当の章が始まります。
大学の新入生、灯(あかり)との出会いから、麻衣子と灯の間をふらふらと行き来しつつ、やがて恋愛、そして人生の「破局」に向かって物語が進んでいきます。
また、世間の常識や「ルール」に異様に執着する陽介の中にある、ルールとは裏腹の「欲望」がどのように自身を破局へと導いていくかというところも考えながら読んでいきたいストーリーです。
主人公の陽介が発言する場面がとても少なく、その代わりに物語全体が陽介の心の中で感じたことを羅列するような疾走感のある語りべでつづられています。
遠野遥『破局』の感想や口コミ
「破局」遠野遥
久しぶりに、ど凄いものを読んでしまった、という感じ。
"今"の大学生の話だけど、近代文学を読んでいるような感覚にもなる。
一昨日購入して一気読みしたら、今夕、芥川賞に決まったそうだ。 pic.twitter.com/fqxOout6Fz— ken okai / 仁右衛門(niemon) (@niemon_k) July 15, 2020
文藝 夏号
遠野遥「破局」
陽介、膝、麻衣子、灯、登場人物の誰もが私の人生の中で出会った誰かに似ているような、読みながら昔の記憶がよみがえってくるような…そして、ラストへとスピードを上げて進んでいく感じにひっぱられてあっという間に読んでしまった。 pic.twitter.com/NxHTRtTxGA— arabiancamel (@arabiancamel3) May 27, 2020
「破局」 遠野遥//著 読了しました
自分のことなのに他人のことのように感じる言い回しが独特で、それが癖になる。
遠野さんらしいネーミングもありました笑
ページも少ないし、これは一気読みすべき本!処女作「改良」もオススメです。
改良よりもレベルアップしていて、3作目も楽しみです!— 芍薬(しゃくやく)読書アカウント (@lCFSErQcHzfqa28) July 15, 2020
おわりに
ひと言でいえば「大学生の恋愛を描いた小説」ともいえますが、その中にある深い部分に触れ、考えたい作品だと思いました。
その時自分の自分の気持ちにより、読むたびに違った感想が出てきそうな一冊です。
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